十勝に月1で通うようになって、地味に驚いたことがある。
ゴミ袋が高い。
スーパーの棚で値段を見たとき、ちょっと二度見した。
袋の値段ではない。
高級な菓子折りでも入ってるんか、という金額である。
まあ、これも十勝のルールなんだろう。
そう思って、ある日ドラッグストアで日用品をまとめて買った。
洗剤、ティッシュ、飲み物。
ついでに指定のゴミ袋もカゴに入れる。
レジでカードを出して、いつものようにシュッと払おうとした。
すると店員さんが、申し訳なさそうに、でもきっぱりと言った。
「すみません、ゴミ袋だけ現金でお願いします」
一瞬、思考が止まる。
「え、あ、はい」
慌てて財布をガサガサ探して、小銭を出す。
カードを一度引っ込めて、現金を払い、またカードを出す。
後ろにはレジ待ちの人がいる。
この、ちょっとしたもたつきが、大阪人としては妙に居心地が悪い。
袋やんな。
これ、ただのゴミ袋やんな。
心の中の大阪人が、レジの隅っこでツッコミを入れている。
洗剤はカードでいけるのに、ゴミ袋はあかん。
この扱いの差は何なんや。
ゴミ袋だけ、急に金券みたいな顔をしている。
あとで知ったのだが、あの袋は単なる袋ではないらしい。
袋の代金というより、ゴミを処理してもらうための料金に近いそうだ。
なるほど。
そう思うと、値段が高いのも、別会計なのも、少し筋が通る。
あいつは袋の顔をしてるけど、実際は半分チケットやったのである。
そう分かれば納得はできる。
でも、レジで「ゴミ袋だけ別です」と言われた瞬間の、あのハシゴを外された感じは忘れにくい。
少なくとも自分が暮らしてきた大阪では、どんなに高くてもゴミ袋はただの商品である。
でも十勝では、あいつはちょっと違う。
ビニールの姿をしているのに、どこか行政の顔をしている。
今でもゴミ袋をカゴに入れるとき、私は少しだけ身構える。
右手にカード、左手に小銭。
両方の準備ができて、ようやく十勝のレジに立てるのである。

