十勝に月1くらいで通うようになって、コンビニの棚を見るのも少し楽しみになった。
コンビニというのは、基本的にどこも同じである。
セブンイレブンなら、だいたい同じ商品が並んでいる。
だから旅先でも、コンビニに入ると少し安心する。
見慣れた棚、見慣れたおにぎり、見慣れた弁当。
ところがある日、中士幌で入ったセブンイレブンで、ちょっと変な光景を見た。
店の一角に、妙なコーナーがある。
アウトドア用品。
Tシャツ。
そして、なぜかアロハシャツ。
コンビニである。
ヴィレッジヴァンガードではない。
「え?」
と思いながら見ているうちに、私はその中の一枚を手に取ってしまった。
タイのアロハシャツ。値段は2450円。
なぜコンビニでアロハを買おうとしているのか、自分でもよく分からない。
でも、こういう店に出会うと、なぜか財布のひもがゆるむ。
結局、買ってしまった。
レジに持っていくと、店員の女の子は普通に言った。
「2450円です」
その顔には、何の違和感もない。
この店にアロハが並んでいることも、個性的なアウトドア用品があることも、
完全に当たり前なのである。
あとで聞くと、どうやらこの店、オーナーが好きで仕入れているらしい。
つまりこのセブンイレブンは、本部の棚の隙間に、オーナーの趣味が入り込んでいる。
いや、オーナーの趣味にセブンイレブンの棚が紛れている店なのだ。
全国チェーンのはずなのに、少し個人商店なのだ。
それにしても、レジの女の子の表情が面白かった。
「こんなセブン初めて見ました」
と言うと、
「そうですか?」
という感じである。
たぶん高校生くらいの子だったと思う。
その子にとっては、このセブンイレブンが普通なのだ。
考えてみれば当然である。
高校生からしたら、中士幌が世界のすべてだ。
その世界のコンビニに、アロハシャツがある。
だからコンビニとは、こういうものなのだ。
十勝のセブンイレブンは、ときどき少し自由である。
そして私は今日も、コンビニでアロハを買った人間として、その自由を静かに受け入れている。

