帯広の雪道を歩いて駅へ向かった話|道間違いとPlaud実験も旅の一部

今月からかりた月極駐車場

12時40分、帯広競馬場の駐車場を出て、12時50分、今月から契約した月3300円の駐車場へ向かった。

ここから徒歩で帯広駅まで行くつもりであった。
地図の上で見れば、それほど大げさな距離ではない。帰る日の最後の移動としては、ちょうどいいくらいの感覚でいた。

ところが、こういう最後の移動ほど、案外すんなり終わらない。

歩き出して5分ほどしたところで、車にコーヒーの飲み残しを置いたままだったことに気づいた。
そのまま数か月放置したら、きっと腐敗してえらいことになる。今日気づけたのは危機回避としてかなり優秀である。そう自分に言い聞かせながら引き返し、もう一度仕切り直すことになった。

ただ、一度戻ると気分も少し変わる。
せっかくだし、別の道で行ってみるか、という気になった。

これがよくなかったのか、あるいは逆によかったのかは分からない。
進んだ先はしっかり雪であった。

足元はぐしゃぐしゃ、視界は白い。
公園の脇には車輪でできたベンチがあり、その横の道を進んでいくのだが、とにかく歩きにくい。引き返すのも悔しいのでそのまま進むことにしたが、雪道の15分から20分というのは、たぶん別の単位で数えた方がよい。本当にそう思う。

公園のベンチ

しかも途中で道まで読み違えた。
交差点でそのまま西6・南8を進んでいたらしいのだが、どうやら駅から離れて北へ向かっていたようである。碁盤の目の街は分かりやすいようで、実際に歩くと高架の角度や道の感覚で簡単にだまされる。

気づけてよかった。
高架を東へ取り直して、ようやく冒険が帰路に戻った。

こういうとき、頭の中では少しだけ笑っている。
予定通りに駅へ向かうだけのはずだったのに、コーヒーを取りに戻り、雪道に入り、方向まで間違えている。だが、帰る日の移動がただの移動ではなくなるのは、たいていこういう瞬間からである。

歩きながら、最近仲間入りしたPlaudで情景を録音していた。
雪の中でガジェットを操作しながら歩くというのも、冷静に考えると妙な光景である。だが、こういう小さな試し方ができるのも旅のよいところだと思う。独り言がそのまま記録になっていくのは、地味に楽しい。

たぶん、こういうものは役に立つとか立たないとかではないのだろう。
どうでもいい実験である。
でも、そのどうでもよさが旅っぽさを作る。

観光地をひとつ見たとか、有名店に入ったとか、そういう分かりやすい出来事だけが旅ではない。
最後の最後に雪道を歩きながら、足元を気にして、道を間違えて、ガジェットの録音を試している。その全部があとから振り返ると、その日その土地でしか起きなかった時間になっている。

帯広駅に向かうだけのはずの帰路は、思ったよりも濃かった。
雪の中を歩くことも、遠回りすることも、独り言を録音することも、全部まとめて旅の一部であった。

どうでもいい実験が旅っぽさを作る。
帰る日の帯広には、そういう時間がまだちゃんと残っていたのである。

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