十勝に月1くらいで通うようになって、もう2年以上になる。
観光地よりも、最近はスーパーを見るのが楽しい。
その土地の暮らしが、いちばん普通の顔をして並んでいるからだ。
今回、ツルハドラッグの売り場で見つけたのが「べこ餅」だった。
POPには大きくこう書かれていた。

「北海道の端午の節句といえば べこ餅」
いや、知らん知らん。(笑)
関西人の感覚では、端午の節句といえば柏餅である。
べこ餅という名前も、どこか不思議だ。
牛なのか、餅なのか。
いや、餅なのは見たら分かる。
北海道では普通に並んでいるらしい
POPを読んでみると、べこ餅は北海道産の上新粉を使い、黒糖の茶色い生地と砂糖の白い生地を重ね、木の葉型にした餅らしい。
日本海沿岸の北陸地方から移住者によって伝承され、北海道独自に進化した形とも書かれていた。
さらに、
「牛のようにたくましく」
という願いを込めて食べ始めたのがきっかけだという。
北海道らしい。
牛、開拓、移住、節句。
たった149円の餅の中に、いろいろなものが詰まっている。

地元の人には普通すぎる
気になったので、レジで店員さんに聞いてみた。
「これ、名物なんですよね?」
すると返ってきたのは、
「名物かどうか分かりません。どこでもあるので」
だった。
この返事が、とても良かった。
外から来た人間は、すぐに「北海道名物だ」と思ってしまう。
でも、地元の人にとっては、あまりにも普通にあるものだから、名物という感覚ではないのかもしれない。
本当に土地に根づいたものは、そういう顔をしている。
観光客向けに飾られているのではなく、普通に売り場に置かれている。
そして、普通に買われていく。
自分用と息子用に2個買った
結局、べこ餅を2個買った。
1個149円。
自分用と、帯広にいる息子用である。
しかも、息子の5月6日生まれ。
端午の節句の翌日だ。
だから余計に、「北海道の端午の節句といえば、べこ餅」というPOPが気になったのかもしれない。
端午の節句の餅を、5月下旬の十勝で見つけて、息子と自分用に買う。
こういうところが、最近の北海道滞在はもう「旅行」だけではなくなってきたなと思う。
観光というより、少しずつ生活に近づいている。
べこ餅はおやつというより、腹にたまる米だった

実際に食べてみると、想像以上に腹にたまった。
調べると1個247kcal。
小さいので完全に油断していた。
和菓子というより、かなり「米」の存在感が強い。
黒糖の茶色い部分も思ったよりしっかり甘く、北海道のおやつというより、開拓時代の携行食みたいな力強さを感じた。
「牛のようにたくましく」という由来も、なんとなく分かる気がする。
スーパーには土地の記憶がある
絶景や有名観光地も、もちろん北海道らしい。
でも、スーパーやドラッグストアの売り場にも、かなり濃い北海道がある。
べこ餅は、たぶん地元の人にとっては普通のお菓子なのだろう。
でも、大阪人の自分から見ると、そこには開拓の記憶や移住の流れ、季節の行事、家族への願いまで見える。
旅先で土地を知る場所は、観光地だけではない。
149円の餅が並ぶ売り場にも、ちゃんと風土はある。

