十勝に月1くらいで通うようになって、もう2年以上になる。
帯広に来ると、風の強さをわりと日常的に意識する。
観光で少し歩くだけなら、「今日は風あるなあ」くらいで終わる。
でも、何日か滞在して生活が混じってくると、この風がじわじわ効いてくる。とくに洗濯物である。干したらすぐ乾きそうな気もする。
でも、そのぶん落ち着かない。飛ばされそうな気もするし、ハンガーの向きも気になるし、外で干すときは、風のことを自然と考えるようになる。
干して1時間もすると、物干し竿のどちらか一方に全部片寄って集合していることが多々ある。
おまえら、なんでそんな端に寄るねんと思うが、帯広の風に命令されてるんやろな。
帯広の風は、爽やかというより、生活に参加してくる風である。今日は洗濯日和やな、と思っていても、風が強いと急に話が変わる。
干せば乾くけど、安心はできない。乾燥には向いているのに、気持ちはあまり安定しない。洗濯物にとってはありがたいのかありがたくないのか、よくわからない風である。
そして、取り込む時に、ひとつも飛ばされていなかったらちょっと勝った気分になる。誰と戦っているのかはわからない。
でも、あの瞬間だけは、今日は帯広の風に勝った、と思う。
十勝で暮らすように滞在していると、こういう細かいところで土地の個性を感じる。
景色が広いとか、空が大きいとか、そういう話ももちろんある。
でも実際には、洗濯物のことを考えている時の方が、その土地を近く感じたりする。
帯広の風は、車を走らせている時には気持ちいいこともある。
でも洗濯の時だけは、ちょっとだけ手加減してほしいと思う。

