十勝に月1くらいで通うようになって、もう2年以上になる。
当初、セイコーマートでおにぎりを買ったとき、店員さんにこう聞かれた。
「温めますか?」
その瞬間、少しだけ頭が止まった。
おにぎりって温めるんや。弁当なら分かるけど、そこも行くんやなと思った。
関西にいた頃の感覚では、コンビニおにぎりはそのまま食べるものだった。だから最初は、セイコーマートではおにぎりを温めることがあると知って、北海道ならではの食文化に触れた気がした。
でも、実際に温めてもらうとこれがうまい。
特に塩サバおにぎりは、脂の香りが少し立って、寒い日に食べるとしっくりくる。食べ物でありながら、ちょっとした携帯あんかでもある。そこまで言うと大げさかもしれないけど、冬の北海道では案外近い。
面白いのは、そのときは驚いたのに、今では自分も普通に「お願いします」と言っていることだ。
人はこうして土地に馴染んでいくのかもしれない。
北海道のワーケーションやノマドワークでは、大きな観光地より、こういう小さな食習慣のほうが記憶に残ることがある。絶景より先に、おにぎりの温度で土地を知る。なかなか渋い入口である。

