2026年春の北海道車中泊の旅(Part19)3日目:2026/04/08
北海道の朝は、目が覚めた瞬間より、外に出た瞬間のほうがはっきりしている。
4月8日、水曜日。道の駅しかおいで朝6時に起床した。晴れている。けれど空気はまだ鋭く、春というより冬の切れ味が残っていた。歯を磨いて外へ出ると、さっきまでの晴れと入れ替わるように雪が降っていた。こういうところが北海道らしい。

昨夜は最初からN-3Bを着て寝ていたので、寒さで起きることはなかった。装備の判断がうまくいくと、朝の機嫌も少し良くなる。
6時半にセイコーマートでコーヒーを買う。コーヒーを入れている時に、カフェラテの告知が目に入った。10円違いで北海道牛乳入りのカフェラテが飲めるらしい。こういう小さな発見は、旅というより生活の延長に近い。次はそっちを試してみようと思う。

7時10分に出発。道中では日高山脈の景色があまりにも良く、思わず撮影した。朝の光に照らされた山並みは、それだけで移動の理由になる。7時45分、鳳乃舞温泉に到着。今度は雲ひとつない晴天だった。

鳳乃舞温泉で露天風呂に入る。風で揺れる白樺を見ながら湯につかる。外気は冷たいのに、湯は42度。その組み合わせがたまらない。北海道の温泉は、湯そのものだけではなく、外気との温度差まで含めて完成しているのだと思う。今回はサウナには入らず、8時半に湯を出た。
その後は休憩所でパソコンを開き、請求書を発行して送信準備まで進める。温泉のあとに仕事をする。この流れが、最近の北海道滞在ではかなり自然になってきた。観光でも出張でもなく、生活の中に旅が混ざっている感じである。
11時に部屋へ戻り、洗濯機を回す。その間に「わ~るど」でパイカラーメンをいただく。1200円。ここは帯広に来ると必ず来る店。2年前に帯広で初めて行った飲食店で当時からお世話になっていた。ただ、2005年5月末で夜の営業がなくなったので居酒屋としての利用ができなくなったのが残念。

食後、回し終わった洗濯物を持ってルミナスフルールへ行き、乾燥機に10分だけかけた。100円分だけ。完全に乾かすのではなく、生乾きの状態から部屋干しに持ち込む。このひと手間だけで乾き方がまるで違う。特に冬場は効く。今は春とはいえ、北海道ではまだ十分使える技だと思う。
そのあと福原記念美術館へ向かった。鹿追町にある美術館で、神田日勝美術館とのセットチケットをお願いしたところ、神田日勝美術館は4月から1年間休館とのことだった。ぎりぎりというか、たまたまというか、そういうタイミングだったらしい。入館料JAF会員なので500円。館内は個人的な使用目的に限り写真撮影が可能だった。

入口すぐには、田中彰作「旅人たちのモニュメント」が展示されていた。タイトルからして、こちらの気分にちょうど重なる。印象に残ったのは、藤井範子氏の「開花へ」と「ひこばえ」。前者はひまわり、後者は桜を題材にした作品で、どちらも春の入口に立っているような感触があった。池田満寿夫氏の作品も展示されていたし、線で雨を表現する手法が浮世絵に始まると言われている、という説明も面白かった。油絵、水彩画、彫刻、日本画など、約150点を見て回る。ジャンルが散っているぶん、見ていて飽きなかった。
道の駅しかおいに戻って、焼きホタテ130円、焼きたらチーズ500円、そして賞味期限が近いという理由で50円引きになっていた黒豆大福270円。
14時40分ごろから仕事再開。クライアントのnoteアカウントがブロックされた件を調べる。その後も、先輩への連絡の続きなど、細かい用事が続く。15時にはブラックニッカのハイボール350mlを開けた。旅先の午後三時に飲む1本には、妙な解放感がある。
15時20分にはクライアントから本日の情報が届き、分析して動画作成に入る。最近は、一つの情報ソースから複数の形に展開する流れがかなり定着してきた。旅先で温泉に入り、洗濯し、美術館に行き、その合間に動画を作る。改めて書くと、なかなか妙な暮らしである。
夕方、鹿追で初めて入った思い出の店に行く。焼肉マルヨシである。この日は看板の上のランプが回っているのが見えて安心した。やっている店の灯りは、それだけでありがたい。
店では、まず瓶ビールがあるか確認し、キープしていた黒霧島の焼酎が残っているかも聞いて、水割りセットを頼んだ。定休日は月曜と火曜らしい。

注文したのは、キムチ、焼野菜盛り合わせ、ホルモンの味噌、牛レバーのタレ付き、軟骨。サッポロ黒ラベルは軽く感じる。お腹いっぱいになりながら、「ごちそうさまです」を何度か繰り返して18時半に店を出る。会計は3800円だった。
店のテレビでは、清水町を「十勝清水町」にするかどうかというニュースが流れていた。中学生も住民投票に参加するらしい。ローカルニュースは、その土地で食事をしている時に聞くと、急に体温を持ち始める。
ただ、この日の夜はここで終わらなかった。そのまま、びっくり寿司へ行ってしまったのである。そして、なぜかカツカレー大盛りを注文した。時刻は18時45分。さっき焼肉を食べたばかりなのに、である。
しかも、このカレーにはイカが入っていた。そんな話は聞いていない。うれしい驚きではあったが、ただでさえ大盛りなのに、そこにイカの存在感まで加わってくる。結果として、満腹感は予想以上になった。会計は1210円。大きくなった腹を抱えながら駐車場へ戻る。
19時半からはリモートで定例情報交換会。クライアントからもらう情報を、一つのソースから動画2本、ブログ2本へ展開している方法の話。クロード・コワークのこと。DifyやBase44のこと。そういう話をしていると、旅の一日というより、複数の生活が一日の中に同居している感じがする。20時50分に終了。
外へ出ると風が強かった。けれど星はきれいだった。今夜も最初からN-3Bを着て、ニット帽とネックウォーマーを装備して寝る。北海道の春は、まだ油断すると持っていかれる。
朝は雪、昼は温泉と美術館、夜はホルモンとカツカレー大盛り。
旅というより生活、生活というより少しだけ変な遠征。その曖昧さが、たぶん今の自分にはちょうどいい。
ほな、また明日。

