なりさん廃線となった北海道・日高本線の記憶を巡るカレンダー。それぞれの月が紡ぐ、列車と人々の物語。過ぎ去りし鉄道の風景と、そこに息づいた確かな日々の足跡を辿ります。
よければ、一緒に旅気分を味わってみてください。
廃線跡の休憩所で
三石の海沿いを走る朝。廃線となった旧三石駅に立ち寄り、潮の香りのなか「ふれあいサテライトみついし」の扉を開ける。


木造の小さな建物。入り口にはかつての駅名が残る看板が立ち、内部はひっそりと静かだった。


目に留まったカレンダー
丸いベンチの向こうの壁に、1枚のカレンダーが貼られていた。
「思い出の日高本線(鵡川〜様似間 廃線)」と書かれ、廃線区間の駅名標や駅舎の写真がずらりと並んでいる。
よく見ると、制作は「北海道浦河高校写真部」。


列車が走らなくなった線路沿いの、無人駅や錆びたホームを一つずつ訪ね、シャッターを切ったのだろう。
駅名標の並ぶ写真に、高校生たちのまなざしが重なり、胸にじわりと何かが残る。
線路は消えても、思い出は残る
誰もいない駅の待合室で、地元の高校生が残した「記憶の地図」を見つける。
旅人として訪れた自分よりも、ずっと深くこの場所に寄り添った誰かの手仕事が、そこにあった。
線路はもう無いけれど、こうして思い出として貼られているうちは、まだ息づいているのかもしれない。
あの日、このカレンダーに出会えたことも、きっと自分の記憶のひとつになるだろう。


線路の上を歩くことはもうできなくても、記憶の上なら、何度でもたどれる。
……それが、旅の意味なのかもしれん。けてくる。
それに気づけるかどうかは、旅人次第なのかもしれない。
森のフクロウ川柳



剥がれずに
時を貼りつく 夏の駅
そんな話もありますねん。
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