2026年春の北海道車中泊の旅(Part19)6日目:2026/04/11
北海道に来たら、どこかへ行かないともったいない。前はわりと本気でそう思っていた。
せっかく来たのだから遠くへ。晴れているのだから何か見に。まだ入っていない店へ、まだ知らない景色へ。
でも、月に1度くらいのペースで帯広に通うようになると、少し感覚が変わってきた。遠くまで行かない日にも、その土地らしさはちゃんとある。むしろ、あまり動かない日ほど、町の生活のリズムがよく見える。
遠くへ行かない日にも、その土地らしさはある
2026年4月11日、土曜日。この日は、まさにそんな1日だった。
朝は6時5分、道の駅おとふけで起床して出発。まず気になっていたのは「炎」である。居酒屋の炎と、スーパーに入っているテイクアウトの炎。あれは同じ炎なのか。関西人の感覚でいうと、王将なら見た瞬間に関係が分かるが、こちらはまだ土地勘が浅い。こういう小さな引っかかりが、旅先では妙に気になる。
6時半にはセコマで初めてカフェラテを頼んだ。月1で通っている土地なのに、まだ初めてが残っているのがちょっと面白い。
6時45分、ダイイチの駐車場へ。この時間から店内外の清掃が始まっていて、店が開く前から町の朝はちゃんと動いている。車内では、昨日アップした動画について受けた「ポイントがぼけている」という指摘をもとに修正作業。そのあと、知り合いの娘さんにLINEでブログの書き方をアドバイスした。北海道まで来てやっていることが普段と変わらないあたり、自分でも少し笑ってしまう。
7時45分には、THE BRIDGEのビジネスレポート「炎編」をアップ。朝から炎のことを調べ、記事まで出しているのだから、この日はなかなかの炎デーだった。
8時15分、理髪店ブルーの駐車場へ。開店まで待つつもりでいたら、車に気づいた奥さんが少し早めに入れてくれた。こういうさりげないやり取りが、通う店のありがたさなんだと思う。しかも土曜の朝はかなり混むようで、あとから次々と人が来て、あっという間に待ち状態になっていた。帯広の土曜朝は、のんびりしているようで案外せっかちだ。
店では、タイヤ交換の時期の話やガソリン代、世界情勢、今シーズンのファイターズの話まで出た。こちらはタイガースファンなので、喜べるときに喜んでおく派である。未来がどうなるかなんて、だいたい誰にも分からない。
何年も前から飼ってはるカエルも元気だった。春は桜で来ることもあるが、カエルの無事で来ることもあるらしい。
温泉と洗濯とスーパーで、帯広の土曜日が見えてくる
8時40分に店を出て、やよい乃湯へ向かう。ところが営業は10時から。まだ早いので、土日だけやっている生鮮市場へ寄ってみた。目当てのウニはなかったが、それもまた市場っぽい。
9時20分、やよい乃湯の駐車場へ。少し車内で仕事をしていたら、晴れてきて暑いくらいになった。夢中で作業しているうちに10時を少し過ぎてしまったが、その時点でもう駐車場は8割近く埋まっていた。帯広の人は土曜日の朝に、どれだけ温泉が好きなのか。これを見ると、夜に来て停められない理由もよく分かる。
サウナは1回だけ。晴れた空の下の露天風呂で十分だった。観光のための温泉というより、生活を整えるための温泉。そういう感じがしっくりくる。
11時20分に出てからは、動画の件でLINEやメールのやり取りを続け、12時に部屋へ戻る。洗濯を回し、12時半にはいつものルミナスフルールで乾燥。旅先で洗濯している時間は派手ではないが、こういう工程があるから通う旅は回っていく。
そのあとダイイチで、4月7日発売のブラックニッカハイボール500mlを購入。部屋に戻ってブログを書き、15時35分にはダイイチの中の炎で焼き鳥弁当を買った。509円。炎のつくねは、やはり外せない。
食事はホッとペースでとった。お茶があり、電子レンジがあり、地元の人たちが思い思いに座っている。6人組のテーブルもいれば、1人で静かに過ごしている若者もいる。みんながそれぞれの距離感でこの場所を使っていて、名前の通り、ちゃんとホッとする空間になっていた。
去年なら、こんなところで時間を使っている場合じゃないと思っていたかもしれない。もっとどこかへ行けたんじゃないか。もう1か所寄れたんじゃないか。そんなふうに、旅を埋めることばかり考えていた気がする。
でも今は違う。焼き鳥弁当を食べながら、その場にいる人たちをぼんやり眺めている時間にも、その土地らしさはあると思えるようになった。通うことで見えてくるのは、名所より先に、その町の時間の使い方なのかもしれない。
16時に部屋へ戻ると、外は見事な晴天だった。そしてこの日は帯広市長選の最終日。選挙カーが前を通り、静かな1日だと思っていても、町はちゃんと動いているのだと分かる。
観光地に行かなくても、1日はちゃんと旅になる
夕方はまた少しやり取りが続き、18時には車をブルーに停めに行く。店内には待っているお客さんがいたので入らず、窓を軽くコンコンと鳴らしてハンドルのジェスチャーをすると、奥さんが両手で輪を作ってOKサインを返してくれた。言葉がなくても通じると、ちょっとだけうれしい。
夜は息子と、その彼女と一緒に焼肉じゅうじゅうへ。4回目の訪問だったが、この日はほぼ満席だった。過去3回がわりと空いていたので少し甘く見ていたが、繁盛している店を見るとこちらまでうれしくなる。
この日は、自分は焼き係と聞き役に回ろうと決めていた。決めておかないと、自分の話ばかりしてしまう危険がある。年齢を重ねると経験は増えるが、同時に話も長くなりがちだ。そこは少し警戒しておいたほうがいい。
若い2人を見ていると、こちらまで少し若返った気がした。彼女の印象もとても良く、北海道を楽しんでほしいと素直に思えた。そういう気持ちになれる夜は、それだけでいい時間だったと思う。
19時50分に部屋へ戻る。20時。大阪ならまだ宵の口だが、この日はもう寝てもいいかなと思えた。すっかり車中泊寄りの体内時計になっているらしい。
朝は道の駅おとふけから始まり、散髪に行き、温泉に入り、洗濯をし、スーパーで買い物をし、ホッとペースで焼き鳥弁当を食べ、夜は焼肉へ行く。観光地らしい観光地にはほとんど行っていない。
それでも、その土地で1日を過ごした実感はしっかりあった。
遠くへ行く日だけが旅ではない。あまり動かない土曜日にも、その町の輪郭はちゃんと出る。
帯広は、どこへ行ったかより、どう過ごしたかが残る町になってきた。
ほま、また明日。

