【北海道#17-3】北海道・幕別で見た「きまま小屋」——「勉三さん、またここで会うたな」

雪の中に建つ中川郡幕別村役場の古写真。木造の建物と門が写るモノクロ写真。
なりさん

北海道・幕別で出会った開拓時代の「きまま小屋」と依田勉三の記憶。温泉とジンギスカン、息子との食事を挟みながら、帯広と幕別を往復した一日の旅の記録。

前回の話はこちらです。

あわせて読みたい
【北海道#17-2】北海道・鹿追と蒸気機関車の記憶——「SLも移住組やったんやな」 鹿追で迎えた北海道2日目。鳳乃舞で朝仕事、甘エビ丼、SL8622号と拓殖鉄道の記憶、煮込みジンギスカンの夜。町に根を下ろす時間の記録。 前回の話はこちらです。 https:...

2025年冬の北海道車中泊の旅(Part17)3日目:2025/11/12

5時、鹿追の平山旅館で起床。やや二日酔い。風呂に入ろうとしたが、湯が抜かれていた。

「ショック……」

気を取り直して朝食を食べる。やっぱりご飯はおかわりしてしまう。牛乳もうまい。前の人の食器も一緒に片付けたら、館主に感心された。些細なことだが、旅先での小さな気遣いが、次につながることもある。

橋物語に桃介橋の記事をアップ。8時チェックアウト。セブン-イレブンでコーヒーを買って一息つく。

9時20分に帯広市内のいきつけの散髪屋ブルーでカット。スッキリ。ここ1年半はずっと帯広でカット。帯広訪問のリズムと散髪の時期がちょうどいい。北側の駐車場に営業時間外に停めさせてくれることになった。お金を受け取らないと言ってくれたけど、何日お世話になるかわからないので、気持ちだけと2千円を渡す。

10時半に拠点。少し仕事をして、11時に息子と待ち合わせ。向かうは、ド定番のじんぎすかん北海道。

ご飯大盛2杯、ラム塩とホルモン塩、マトンとキングマトン、ラムとキングラム。

「やっぱり、ここのジンギスカンは最高やな」

じんぎすかん北海道

息子と久しぶりに顔を合わせて、北海道の肉を食う。こういう時間が、旅の中にあることの贅沢さを噛みしめる。

12時半に拠点を出る。息子おすすめの幕別の華の湯に向かう。12時50分、温泉到着。その前に、幕別ふるさと館があったので寄ってみる。入館料200円。

「また、ここも開拓の歴史あり、か」

館内に入ると、石器や土器、そして開拓時代の資料が並んでいる。その中で、目を奪われたものがあった。

「きまま小屋」だ。

大正6年(1917年)に、依田勉三の晩成社(池田町)が幕別に置いた、木枝を重ねただけの小屋。人が住んでいた「きまま小屋」と呼ばれる建物。北海道で現存する唯一の建物だという。

長さが一間(1.8m)と三間(5.4m)に決まっていたので「きまま小屋」と言った。丸太の小屋は、直径が10数cmのロクロ木を組んだもので、カンテラを灯し、冬は寝床にワラを入れ、開拓の寒さをしのいだ。

展示している小屋は本物で、支部町の方から寄贈されたものだという。

「うわ、これ、ほんまに人がここで暮らしてたんやな……」

幕別ふるさと館に展示されている開拓時代の「きまま小屋」の外観。草葺き屋根と土壁の小さな住居。
木枝と土で作られた「きまま小屋」の実物展示。思っていた以上に小さく、ここで暮らしていた時間の重さを感じる。

小屋の前に立つと、100年以上前の開拓者たちの息遣いが聞こえてくるようだ。依田勉三。この名前に、また出会った。歴史の実生活で書いた人物が、こうして実際の展示物として目の前に現れる。

館内には、ヒグマの剥製、エゾシカ、キタキツネ、エゾフクロウなどの動物たちも豊かに展示されている。電気のなかった時代に使われていた生活の道具もたくさんある。ランプのホヤ(ガラスのところ)のススを取るために、手の入る「窓」を作ったという工夫。

雑穀を「きね」でもんで精白にした石うす。いろいろなものを作る貴重な道具。開拓者の人々のたくましさが、展示物の一つ一つから伝わってくる。

13時30分に温泉へ。華の湯。入館料950円。タオルセットは200円。JAF割引100円があったのに気づかなかった。

広い。湯船も各種色とりどり。露天風呂も広い。サウナはあまり汗が出なかったが、全体的に気持ちいい。

17時、帯広の拠点に到着。18時20分、息子とスーリア。インド料理屋でナンとご飯のおかわり自由。

「うまい」

カレーの辛さと、ナンのもちもちした食感。帯広では同期のことを「ドンパ」と呼ぶらしい。地元の言葉やという。そんな話を息子から聞きながら、カレーをかき込む。

19時15分にトライアルで買い物。19時40分、理髪館ブルーの駐車場に車を停める。昨日、店主が「営業時間外なら使っていい」と言ってくれた場所だ。こうして「停めさせてもらえる場所」があるというのは、旅人にとって心強い。拠点で寝る。

「布団は気持ちええの〜」

車中泊も悪くないが、やはり布団で寝られるのは格別だ。

外は静かだが、胸の内側では、きまま小屋の木枝と、依田勉三の写真と、ジンギスカンの煙と、インドカレーの香りが、まだざわざわと混ざり合っている。

こうして、幕別と帯広を往復した北海道3日目、2025年11月12日の夜は、更けていくのである。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

ほな、また明日。

次回の話はこちらです。

あわせて読みたい
【北海道#17-4】北海道・カラマツの黄金と鹿追の地層——「福原さん、ここが起点やったんや!」 十勝のカラマツが黄金に染まる朝。温泉で仕事、雨上がりの虹、鹿追ジオパークで知る福原創業の地。風景と地層と記憶が重なる一日の旅ログ。 前回の話はこちらです。 htt...

このシリーズのまとめ記事はこちらです。

あわせて読みたい
【北海道ノマド旅#17】2025年11月・車中泊まとめ きまま小屋と福原創業の地とカラマツの黄金 2025年11月北海道ソロ旅で見つけた、点と点がつながる話 北海道を一人、車に寝泊まりしながら巡った今回の旅。 振り返って...

おすすめ記事

あわせて読みたい
北海道ノマド旅まとめ 2024年3月から始まった、月1回の十勝通い。 北海道と関西を行き来しながら、車中泊、ノマドワーク、温泉、道の駅、十勝の暮らしを少しずつ記録してきました。 このペー...
あわせて読みたい
車中泊ノマドワーカーの実践法!電源・Wi-Fi・場所選びまでリアルな体験を公開 旅をしながら働く。 そんな理想を形にしたのが「車中泊ノマドワーク」だ。 青い海を背景にキーボードを叩く時間もあれば、温泉施設の休憩所で整いながら作業する日もあ...
あわせて読みたい
自由なワーケーション:車中泊で全国ノマドワーク 日本の軽バンライフでワーケーションとノマド旅を満喫!北海道を拠点に全国を巡る移動オフィス&ホテル、バンカスタムの魅力を紹介。 北海道で車中泊ワーケーションを2...

おすすめカテゴリー

なりさん
月1で北海道に通い、車中泊で旅をしながら働いています。行き当たりばったりの旅と、小さな工夫のハックを楽しみながら、土地の歴史や人の営みをブログやKindleで記録しています。2月5日にジムニーノマドが納車され、新たな旅のカタチを模索中です。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!